【7月31日 AFP】オウサマペンギンの世界最大の集団繁殖地(コロニー)が30年間で90%近く縮小したと警鐘を鳴らす研究結果が30日、発表された。

 アフリカの南端と南極のほぼ中間に位置する仏領クロゼ諸島(Crozet archipelago)ココン島(Ile aux Cochons)に科学者らが最後に足を踏み入れた当時は、200万羽に及ぶオウサマペンギンで島が覆い尽くされていた。飛べない鳥のオウサマペンギンは体高が約1メートルに達する。

 だが、科学誌「アンタークティック・サイエンス(Antarctic Science)」に掲載された論文によると、最新の人工衛星画像とヘリコプターから撮影された最近の写真により、オウサマペンギンの個体数が急減した結果、20万羽が辛うじて残っている状況にあることが明らかになったという。

 定住型の鳥であるオウサマペンギンは、餌探しの時に成鳥が数日間海に出るが、渡り(季節移動)はしない。

 ココン島のコロニーがこれほど大幅に縮小した理由は謎のままだ。

 論文の主執筆者で、仏シゼ生物学研究所(Centre for Biological Studies in Chize)の生態学者のアンリ・べイメルスキルシュ(Henri Weimerskirch)氏は「これはまったくの予想外で、特に深刻な出来事だ。なぜならこのコロニーは全世界のオウサマペンギンの3分の1近くを占めていたからだ」と指摘した。同氏がココン島のコロニーに初めて着目したのは1982年のことだった。

 気候変動が一因となっていることも考えられる。1997年に発生した特に強力なエルニーニョ(El Nino)現象では、インド洋(Indian Ocean)南海域の海水温を上昇させ、オウサマペンギンが依存している餌の魚やイカをペンギンの採餌範囲が及ばない南方へと一時的に押しやった。

 その結果として、この領域にあるオウサマペンギンのコロニーすべてに「個体数の減少と繁殖成功率の低下が生じた」と、べイメルスキルシュ氏は説明した。