【7月27日 AFP】イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)でプレーするメスト・エジル(Mesut Ozil)は、人種差別問題でドイツサッカー連盟(DFB)との対立が大きく騒がれる中、プレシーズンの親善試合でファンから示された「愛情」に感謝した。

 シンガポールで26日に行われたアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)とのインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)で、エジルはベンチから試合を見守ったものの、スタジアムの大きなスクリーンに姿が映し出されると、この日一番の歓声を受けた。2万3000人のファンが見守る中、アーセナルは90分間を戦い終えてアトレティコと1-1で引き分けると、PK戦の末に1-3で敗れた。

 29歳のMFエジルは自身のツイッター(Twitter)に、ファンから歓迎を受けている写真を投稿し、「今夜たくさんの愛情を示してくれたシンガポールのガナーズ(Gunners、アーセナルの愛称)に感謝する」というメッセージを添えた。

 W杯ロシア大会(2018 World Cup)に出場してからチーム練習に合流し、この日は試合に出場しなかったエジルは、先日ドイツ代表からの引退を表明した際に「人種差別や侮辱行為」を受けたと主張し、同国サッカー界に衝撃を与えた。

 DFBのラインハルト・グリンデル(Reinhard Grindel)会長は人種差別の訴えを否定する一方で、エジルがトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と並んで写真を撮影したことで批判を浴びた際に、同選手を擁護するべきだったと認めている。

 ドイツ生まれでトルコ系の両親を持つエジルは、2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)では優勝メンバーとなったが、チームがグループステージ敗退を喫した今大会では、個人的に不当な扱いを受けた。

 アーセナルのウナイ・エメリ(Unai Emery)新監督と選手が、プレシーズンのツアーでエジルを擁護する姿勢を示すと、ソーシャルメディアでも同選手を支援する#StandWithOzilや#SayNoToRacismなどのハッシュタグが飛び交った。

 アーセナルのMFヘンリク・ムヒタリアン(Henrikh Mkhitaryan)は今週、AFPの取材に対して、「もちろん、全員でメストをサポートする。僕らは彼と共にあり、彼を助けていくつもりだ。誰もが知っている通り、アーセナルには多くの外国人選手や外国人スタッフがいる。その人がどの国の代表であろうと関係ない。チームは家族同然であり、互いに助け合っている」と話した。(c)AFP