【7月25日 AFP】夏季五輪で計6個の金メダルを獲得した競泳のライアン・ロクテ(Ryan Lochte、米国)が、ドーピング違反で14か月の資格停止処分を受けたことに対して、同国競泳界のスター選手たちは処分を支持する姿勢を示している。

 ロクテは禁止薬物を使用したわけではなかったが、治療使用特例(TUE)なしに静脈注射を受けたため米反ドーピング機関(USADA)から処分を科された。

 これに対し、2012年ロンドン五輪の男子100メートル自由形など、五輪で計5個の金メダルを獲得しているネイサン・エイドリアン(Nathan Adrian)は、「率直に言って、彼が別の連盟の所属選手だったら、これほどの厳しい罰を科されることはなかったのではないかと思う」と話した。

 全米選手権(2018 Phillips 66 National Championships)開幕を翌日に控えた米アーバイン(Irvine)で、エイドリアンは、「今のUSADAが非常に厳しいのは、米国の選手ならみんな分かっている。他の国も、同じようにしてくれたらうれしいね。自国の選手を守るためではなく、スポーツを統治するためにいるんだと思ってほしい」とコメントしている。

 エイドリアンは、複雑なドーピング規定にきっちり従うのは難しいことを認め、「聞かなくてはならないことがたくさんある」と、疑問点は米国水泳連盟(USA Swimming)関係者かUSADAに直接確認していると明かした。ただし、代表合宿でUSADAの講習を受けたため、治療目的以外での静脈注射が禁止されていることは把握していた。

 2017年に行われた第17回世界水泳選手権(17th FINA World Championships)で、男子200メートルと400メートルの個人メドレーを制したチェイス・カリシュ(Chase Kalisz)も、3年前に同様の講習を受けて知っていたという。

 女子平泳ぎのリリー・キング(Lilly King)は、「友人でありチームメートでもある選手にこういったことが起こるのはつらい」と認めつつ、処分は不当ではないという考えを示した。キングは、過去に薬物違反による出場停止処分を受けているロシアのユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova)が、2016年のリオデジャネイロ五輪に出場した際、薬物違反者と名指しして波紋を呼んだ。

 キングは「誰だってルールには従わなくてはならないし、国際水泳連盟(FINA)や世界反ドーピング機関(WADA)、USADAといった反ドーピング機関が取り締まりを強化しているのは良いことだと思う。何か対策を取らなくてはならないのだから」と話した。

 女子自由形のケイティ・レデッキー(Katie Ledecky)は、米国選手の違反やロクテのような「状況」は最近では珍しいと指摘しつつ、「世界各地の国際大会ではこうしたことが起こっている。スタート台に上がったときに、完全にクリーンな選手しか出場していないと信じられるようになることが、選手全員の夢だと思う」とコメントした。(c)AFP/Rebecca BRYAN