【7月24日 東方新報】狂犬病ワクチンの生産記録のに捏造(ねつぞう)が発覚した長春長生生物科技(Changchun Changsheng Biotechnology)で、三種混合ワクチンも当局から行政処分を受けていたのに公表していなかったことがわかった。同社は19日、吉林省(Jilin)食品薬品監督管理局からの行政処罰決定の内容を公表した。

 それによると、同社の100%子会社である長春長生が生産した三種混合ワクチンの有効性などの測定項目が規定に当てはまらない「にせの薬」であるとして、罰金344万2900元(約5640万円)が科されている。

 奇妙なことに、吉林省食品薬品監督管理局がこの件について調査していたのは昨年10月で、長春長生も当時、調査を受けたことについて公表していなかった。

 三種混合ワクチンは児童のジフテリア、百日ぜき、破傷風の三つの病原菌に対するワクチンで、国が接種を求めている。今になって公表した三種混合ワクチンの品質問題のニュースは、子どもを持つ親たちを不安にさせている。

 吉林省食品薬品監督管理局が決定書を公開したのは今月20日になってからのことで、決定書の落款は18日付けだった。

 決定書によると、長春長生の在庫のワクチン186本を没収するとしているが、すでに問題があった25万2600本のワクチンは山東省(Shandong)の疾病予防抑制センターへ販売されていた。同省食品薬品監督管理局の責任者は昨年、問題のワクチンはすべて回収済みで、ワクチンに関して「効果は標準に達していないが安全面では問題ない」と公表していた。

 しかし、親たちにとっては、当時、本当にすべて回収されたのか、自分の子どもに打たれたワクチンに問題はなかったのかなどの懸念が残されている。

 また、上場企業である長春長生生物科技に対し、深セン証券取引所は20日、生産停止となった三種混合ワクチンが占める売上の比重と、事業への影響、対応措置についての説明を求め、情報の隠蔽(いんぺい)が存在していたかどうかについても説明を求めている。

■李克強首相、問題への対応を指示

 李克強(Li Keqiang)首相は一連の問題に関し、「今回のワクチン事件は道徳の最低ラインを超えている。全国民にわかるように説明をすること」との指示を出した。

 李首相は指示の中で、「国民の命の安全を脅かす一切の違法犯罪行為を断固として糾弾し、監督管理の職務怠慢・汚職行為に対し厳しく責任を追及する。国民の安全で安心、信用できる生活環境をいち早く取り戻す」と要求している。(c)東方新報/AFPBB News