【7月24日 東方新報】サッカーW杯ロシア大会で、フランスチームのオフィシャルスポンサーだった中国厨房器具メーカーの華帝(VATTI)は、「フランスが優勝したら、代金を全額返金」とするのキャンペーンを実施し、「優勝セット」を販売。大きな話題を呼び、W杯商戦の勝ち組に名を連ねた。

 しかし、実際にフランスが優勝すると、セットの購入者から「返金してもらえない」「お金じゃなくて商品券で返すと言われた」といった苦情が噴出。中国消費者協会が19日に微博(ウェイボー、Weibo)を通じ、華帝のキャンペーンに関する苦情を募ったところ、24時間で73件が集まった。消費者協会は、クレームを華帝に転送し、全ての案件に適切に対処し、処理状況を報告するよう求めている。

「優勝セット」をECサイトで購入した消費者は、「華帝のカスタマーサポートに電話したところ、『同額のギフト券を贈る』と言われた」と語る。この消費者は「ギフト券はいらないので、現金で返してほしい」と求めたが、断られたという。華帝の公式サイトは、消費者には、天猫(Tmall)、蘇寧(Suning)、京東(JD.com)など、購入したECサイトで使えるギフト券の形で「返金」するとしている。

 騒動を受け、消費者協会は18日、微博で「このプロモーションは画期的で面白い。華帝は消費者との約束を果たし、返金作業を進めてほしい。どんなに素晴らしいプロモーションでも、誠実さが必要だ」とコメントし、翌19日に、どんな問題が起こっているか消費者からの報告を求めた。

 華帝は20日、ウェイボー博の公式アカウントで「当社は販売前の約束を守るべく、急ぎ返金作業を進めている」とするコメントを発表した。20日午前10時時点でオンラインで4290件、1550万元(約2億5000万円)分の返金申請を受け付けたという。

 対外経済貿易大学(University of International Business and Economics)消費者保護法研究中心の蘇号朋(Su Haoming)教授は、「華帝は5月30日に、優勝セットの発売を発表し、翌31日に具体的な条件を定めた細則を発表した。細則には『ギフトカードなどで返金する』とあるが、消費者は現金で返金されると受け取め、誤解が生じた」と説明する。


 記者が華帝の優勝セットの広告を確認したところ、一番下に非常に小さな字で「活動細則は華為の店舗や販売代理店にお尋ねください」とあった。


 北京市法学会電子商務法治研究会の邱宝昌(Qiu Baochang)会長は「通常の理解では、「全額返金」といえば、人民元での返金を指し、ギフト券とは思わないだろう」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News