■モドリッチ「監督のおかげ」

 初陣となった敵地でのウクライナ戦は必勝の試合で、その後のプレーオフではギリシャに勝利した。

「私たちはW杯決勝にいる。これは監督のおかげだ」とモドリッチは語る。

「W杯出場が怪しく、最も重要だった(指揮官の)初戦で監督は私たちに自信を与え、自分を信じる力をくれた。彼はこの災難の中でも私たちは良い選手だと言ってくれたんだ」

「ウクライナ相手に結果を残し、ギリシャに快勝できたのは監督のおかげだ。私が一番好きなのは彼の誠実さと選手一人一人に対する態度だ。彼は監督としてだけでなく、人間としての良さを見せてくれた」

 クロアチアの決勝への勝ち上がりにより、国内ではここ数年の数々の汚職で幻滅していたファンたちの選手に対する国民的英雄という評価を回復させた。

 モドリッチでさえ、今年3月にはクロアチアサッカー界の中心人物であるズドラフコ・マミッチ(Zdravko Mamic)氏に6年半の懲役が言い渡された裁判における偽証の容疑で告発された。

 モドリッチに対する起訴は裁判所に正式に認められておらず、現在は逮捕に直面しているわけではない。

 ダリッチ監督は、人口わずか400万人ほどの母国で、国民が気持ちよくなる要因が長続きすることを願っている。

「このような災難の中でも、クロアチア人はあらゆる問題や困難などを忘れられることに、誇りと幸せを感じる」

「勝っても負けても、15日はクロアチアでとてつもない出来事が起こるだろう。できれば400万人全員が街に出て祝ってもらいたい」

 モドリッチはW杯でのパフォーマンスで、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)とリオネル・メッシ(Lionel Messi)による10年間に及ぶバロンドール(Ballon d'Or)獲得の牙城を崩す有力候補として名乗りを挙げた。また、今年5月にはレアル・マドリード(Real Madrid)でここ5シーズンで4度目となる欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)制覇を果たしている。

 しかし、モドリッチは、個人の栄誉よりも15日にチームとして獲得を目指す賞の方が重要だとした。

「そういった話に自分の名前が挙がるのはとてもうれしいことだけど、それに私自身とらわれない。欲しいのは代表での成功であって、個人の賞ではない」 (c)AFP/Kieran CANNING