【7月8日 AFP】(更新)タイ北部チェンライ(Chiang Rai)県の洞窟に2週間以上にわたり閉じ込められているサッカーチームの少年12人とコーチ1人について、同県の知事は8日、洞窟から救出する活動が始まったと明らかにした。今後の大雨で水位が上がる可能性もあり、同知事は「条件が整っているのは今日以外にはない」と述べ、作戦の意義を強調した。

 救助隊の指揮に当たる同県のナロンサック・オーソッタナゴーン(Narongsak Osottanakorne)知事は報道陣に対し、「今日が作戦の決行日だ」と表明。「少年たちはあらゆる試練に挑む準備ができている」と語った。

 また救出活動の責任者の一人は報道陣に対し、全員の救出に要する時間について「天候などの要因次第だが、2~3日ほどかかる」と話している。

 タイ語で「イノシシ」という名のサッカーチームのメンバーたちは6月23日、練習後にタムルアン(Tham Luang)洞窟に進入。以降、洞窟内に閉じ込められている。

 モンスーンの雨により洞窟内の水位がさらに上昇し、救出活動が阻まれるのではないかとの懸念が高まっていたが、ナロンサック知事は、8日午後9時(日本時間同日午後11時)までに1人目が救出できる見込みだと説明。救出までに11時間かかる見通しを示した。

 当局はこれに先立ち、救出活動の準備を行うためだとして洞窟の入り口付近に集まった1000人以上の報道関係者に退去を求めていた。

 11~16歳の少年ら12人と25歳のコーチは閉じ込められてから9日後、英国人ダイバーによって発見されたが、少年たちの中には泳げない子や潜水の経験がない子もおり、ナロンサック知事はこの救出活動を「不可能な任務」と称していた。

 また、6日には洞窟内で救出活動に当たっていた元海軍特殊部隊員のダイバー1人が酸欠で死亡。洞窟内の移動が熟練の潜水士でさえも危険であることが浮き彫りとなった。

 現地では7日夜に短時間の大雨が降り、8日夜にもさらなる悪天候が予報されており、ナロンサック知事は直ちに救出活動を実行せざるを得なかったと説明。

 また、降り続く大雨の影響で洞窟内の水位が少年らのいる岩棚にまで迫る可能性もあり、ナロンサック知事は少年たちの退避場所の広さが「10平方メートル未満」まで縮小していると指摘し、「条件が整っているのは今日以外にはない」「さもなければ好機を逃すことになる」と強調した。(c)AFP