【7月5日 AFP】南米チリで8年前、69日間にわたって地下に閉じ込められた鉱山労働者が、タイ北部チェンライ(Chiang Rai)県で洞窟に閉じ込められている少年サッカーチームに4日、激励のメッセージを送った。

 タイの少年たちにメッセージを発したのは、チリ北部コピアポ(Copiapo)近郊のサンホセ(San Jose)鉱山で2010年に発生した落盤事故で地下に閉じ込められ、69日後に救出された33人の作業員の一人、マリオ・セプルベダ(Mario Sepulveda)さん。地下でずっと仲間たちを勇気づけていたことから「スーパーマリオ」の愛称で知られる。

 セプルベダさんはAFPに送ってきたビデオメッセージの中で、自分の思いは少年12人とコーチと共にあり、タイへ渡って支援することを計画しているところだと語った。

 大雨によって洞窟内に閉じ込められたタイの少年サッカーチームの救助作業は、チリで8年前に起きた落盤事故を思い起こさせる。当時、セプルベダさんら33人の作業員は10週間近く地下に閉じ込められ、その後1人1人地上へ救出される様子を、世界が固唾をのんで見守った。

 タイの「イノシシ」という名のサッカーチームのメンバーたちに宛てた40秒間の動画の中で、セプルベダさんは黄色いベストとオレンジ色の鉱山作業員用のヘルメット、ヘッドランプを身に着け、簡潔ながらもエネルギーにあふれたメッセージを送った。

 セプルベダさんはスペイン語で「踏ん張れ」「くじけるな」などを意味する「ムチャ・フエルサ!」と言葉をかけた。また自らタイへ渡って、できる限り救助活動を支援するための資金を集めていると語った。

 メキシコの首都メキシコ市を訪問中にAFPの取材に応じたセプルベダさんは「何ができるか見てみるつもりだ。(チリ)政府の担当者に連絡して資金を集めているところだ。国にとっても経験者の私たち、鉱山労働者が現地に行くことが重要だと思う」「(タイの)現地へぜひ行きたい。家族をサポートするのがとても大事だと思う。励ましの言葉が大事だと思う」とAFPに語った。(c)AFP/Sofia MISELEM