【7月3日 AFP】タイ北部チェンライ(Chiang Rai)県で、大雨により洞窟に閉じ込められていたサッカーチームの少年12人とコーチ1人が、懸命の捜索活動によって9日ぶりに発見された。

 流れの速い泥水で満たされた全長10キロの洞窟での、9日間にわたる過酷な捜索活動はどのように行われたのだろうか。

・6月23日(土)

 サッカーチームに所属する11~16歳の少年らと25歳のコーチは、練習後にタイ北部の国立公園内にあるタムルアン(Tham Luang)洞窟に入った。その夜、息子が帰宅していないことから、母親が通報した。

 地元当局は、大雨により、少年らは洞窟の正面入り口に引き返すことができなくなり閉じ込められてしまったと考え、捜索を開始した。

 入り口付近で、柵につないで鍵が掛けられた自転車、少年らの靴やサッカーシューズが発見された。

・6月24日(日)

 公園職員と警察は、少年らの捜索活動を本格化した。ラオスとミャンマーの国境に近いこの地域一帯では、豪雨が続いていた。

 捜索隊は、少年らのものとみられる手形や足跡を発見した。少年らは水位の上昇により洞窟内に閉じ込められ、曲がりくねった洞窟の奥に避難したと思われた。

 少年らの親族は、洞窟の外で夜を徹して見守った。親族らはその後9日間連続で、洞窟の外で知らせを待ちわびた。

・6月25日(月)

 タイ海軍特殊部隊のダイバーが、酸素ボンベと食料を携え、少年らを探すため洞窟の中に入った。

 両親らのための祈りの場が急きょ設置された。

 豪雨が続き、洞窟内の水位が上昇する懸念が高まる。

 少年らはさらに奥に進み、「パタヤ・ビーチ(Pattaya Beach)」と呼ばれる岩棚にいると考えられた。

・6月26日(火)

 ダイバーは、洞窟の入り口から数キロ先のT字路に到達したが、押し寄せる水がパタヤ・ビーチ付近の狭い隙間をふさいでいたため、撤退せざるを得なかった。

 捜索活動は24時間体制で行われたが、雨が降り続いていたため時間との闘いとなった。

 タイのプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相が、捜索活動への支援を国民に呼びかけた。

・6月27日(水)

 米太平洋軍(US Pacific Command)は、パラシュートレスキュー隊やサバイバルの専門家などから構成される30人の救助隊を派遣、救助隊は27日午後に現地入りした。

 米救助隊と英ダイバー3人が洞窟に入ったが、激しい水に阻まれすぐに撤退した。

 降り続く雨で水かさが増し、当局は(捜索が)「困難」な状況だと述べた。