【7月2日 東方新報】「お兄さん、お付き合いしませんか?」

 写真のすてきな女性、そして柔らかくて優しい声。しかしその裏には、詐欺師たちが暗躍していた。

 中国・浙江省(Zhejiang)温州市(Wenzhou)泰順県(Taishun)の警察は6月20日午前、山東省(Shandong)莱陽市(Laiyang)で恋愛を装って金をだまし取っていたグループ37人を一斉に逮捕した。被害金額は50万元(約830万円)に上る。このうち29人の容疑者は23日午前、泰順県公安局に移送され勾留された。

■だまされたと気づかず、「彼女」に金払いブロックされるまで

 温州市泰順県の林さんは今年4月、ある婚活サイトで、一人の女性が発信したプロフィールを見て心を引かれ、微信(ウィーチャット、WeChat)に登録してこの女性とチャットを始めた。相手の性格はとても優しく、きちんと職に就いていることが分かり、すぐに意気投合。交際を始めることにした。

「ダーリン、何か食べたいわ、買ってくれる?」

「いますぐ会いたいわ。でも電車の切符を買うお金が足りないの」

「気に入った服を見つけたの。でもちょっと高いの」

「あなたのご両親に会って、結婚のことを決めたいわ」

 林さんはこの相手が運命の人だと感じ、この「彼女」が金をねだってきても断らず、ウィーチャットの「お年玉(少額送金機能)」や「お財布(高額送金機能)」を使って送金した。林さんは金がなくなると、「彼女」を喜ばすために、借金をしてまで送金をするようになった。

 知り合ってからのわずかひと月で、「彼女」は林さんから1万6000元(約27万円)をだまし取り、ブロックされてから林さんはようやく、自分がだまされたと気づいた。

■ネットの「彼女」、実はむくつけき男たち

 泰順警察の捜査班は、約1か月の時間をかけ、詐欺グループの活動エリアを絞り込み、山東省と河南省(Henan)で捜査と証拠集めを行った。

 20日午前、警察官50人が山東省莱陽市内の3か所のアジトを搜索し、容疑者37人を逮捕。犯罪に用いられた携帯電話や銀行カードなど数百点を押収した。