【6月30日 東方新報】中国の住宅地で宅配ロッカーをよく見かけるようになった。

 宅配会社は「ラスト1マイル宅配」を巡る競争の一環で、宅配ロッカー設置や子会社設立を進めているが、採算性や情報保護、法律などの問題に直面している。

 Eコマースの成長で、宅配物流需要も急増している。中国国家郵政局によると、2017年の中国の宅配サービス企業の荷物取り扱い件数は前年比28%増の400億600万件、2012年から2017年の間では605%増えた。

 一方、荷物の急増は、現場の配達員への大きな圧力となっている。集荷、輸送、仕分け、配達の各業務の中で、配達の最後の段階は、現場の配達員にとって最も負担が大きい。

 国家郵政局によると、現時点で中国全国の宅配ロッカー数は約20万台。2020年までに宅配ロッカーでの受け取り率を20%に引き上げようとすると、あと7600万台が不足する。つまり市場の成長性は非常に大きい。

 宅配ロッカー企業は宅配会社から潤沢な資金を獲得しているが、それでも需要を満たすには足りない。また、当面は膨大な設備投資が必要で、利益を上げることが難しい。

 業界大手の豊巣科技(Hive Box)の今年1~5月の売上高は2億8800万元(約48億円)、純損益は2億4000万元(約40億円)の赤字だった。

 豊巣に出資する順豊速運(SFエクスプレス、SF Express)の2017年決算資料によると、豊巣科技は集合住宅、オフィスビルなどに宅配ロッカーを7万5000台設置し、80都市を網羅しているが、巨大な設備投資と運営コストが利益の重荷となっている。

 収益モデルが確立しないのも悩みだ。宅配会社や配達員から費用を徴収する方法、荷物を受け取る消費者から徴収する方法、広告事業、付加価値サービスなどの収益モデルがある。

 配達員から費用を徴収する場合、ロッカーを使えば配達効率は上がるものの、利益は削られることになり、悩ましい選択となっている。(c)東方新報/AFPBB News