【6月28日 東方新報】都市が発展するにつれて、手紙を書く人は徐々に減ってきた。道路の脇の大きなポストは、徐々に人びとから忘れ去られていく。

 緑色のポストに黒い投函口。私たちが携帯電話の画面に釘付けになりながら道を歩いている時でも、緑のポストは人々に忘れられながらもそこにたたずんでいる。郵便局員が午前と午後の1日2回、雨の日も風の日も郵便物を回収に来る。

 浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)34か所のポストの回収を担当している郵便局員の鄧さんは、「2004年の入社当時は、ポスト1個分で麻袋がいっぱいになるほどだった。今は違う。電動自転車の前後にくくりつけた麻袋は毎回ほとんど空っぽだ」と苦笑する。

 郵便物は減ったが、「ポストごとにそれぞれ個性があるよ」と鄧さん。中学校の前にあるポストには、「心を込めて作られたハガキが多い」。病院の前のポストには、衛生局宛の郵便物が多いという。

 緑色のポストは、今も昔も変わらず沈黙したままその場所に立っている。急ぎの郵便物がやり取りされることはもうないが、感情をつなぎ留める美しい存在として、変わらずそこにある。

 ポストの存在意義はすでに実用的な意味を超越し、その街の象徴となっている。(c)東方新報/AFPBB News