【6月29日 AFP】韓国南部・済州(Jeju)島に、中東イエメンから内戦を逃れた亡命希望者が何百人も到着している事態を受け、韓国政府は29日、難民法を厳格化する方針を発表した。

 1950~53年の朝鮮戦争(Korean War)で自国も壊滅的な被害を受けた韓国だが、民族的にはごく均質的な社会であり、これまで難民認定されたのは申請者のほんの一部に限られている。

 北朝鮮から韓国に逃れてきた人々、いわゆる脱北者に対しては自動的に市民権が付与される。これに対し、それ以外の国からの亡命希望者は1994年以来4万人を超えているにもかかわらず、審査が完了した事例は半数余り、しかも実際に難民認定されたのはわずか4.1%の839人にとどまっている。

 それでも今年に入り、観光促進のため韓国政府が査証不要としているリゾート地・済州島に難民申請を希望するイエメン人が多数到着するようになった。イエメン人による難民申請件数は、昨年は42件だったが、今年に入って急増しこれまでに約550件に達している。

 韓国では、新たに到着する難民をめぐって、文化の違いや財政負担といった懸念が広がっている。今月初旬には、済州島訪問時の査証免除国のリストからイエメンが除外され、またイエメン人には済州島から韓国本土への渡航も禁止された。

 韓国の従来の難民法では、難民認定を却下された申請者は裁判所に不服を申し立てることができ、これら一連の過程に5年かかることもあった。しかし韓国法務省は29日、不正防止のため難民法を改定するとともに、現在8か月かかっている審査を2~3か月に短縮するため、職員を増員すると発表した。(c)AFP