■140センチ以上なら「大人」?

 劉裁判官は、身長で判断する「140センチ基準」を早急に撤廃し、年齢制限によって解決することが、科学的にも論理的にも利用しやすいし、人道的な面から見ても平等だと考えている。劉裁判官が調べたところ、香港(Hong Kong)や日本、北米のディズニーランドなどの子ども料金の基準は、上海をのぞいてすべて年齢を基準として料金を設定していることを知った。

 劉裁判官は家族と上海ディズニーランドへ行った際に、事前にインターネット上で499元(約8300円)の「親子チケット」を購入。だが当日になって、現地の引き換え場所で入場券と引き換えようとすると、窓口のスタッフが劉裁判官の子どもの身長が基準を超えていると判断し、子どもの身長を計測してやっと、140センチ以下だと判断した。

 しかし、窓口の別の担当者は、かたくなに劉さんの子どもが140センチ以上だと主張。劉裁判官は結局、ほかの来園者に迷惑をかけたくないと考え、上海ディズニー側の要求をのんで子どものために大人料金を支払った。また、劉裁判官と同行した友人の家族も子どもが9歳であるにもかかわらず、身長が高いという理由で大人料金を求められたという。

 上海ディズニーのチケット価格は、祝祭日で大人575元(約9600円)、子ども431元(約7200円)。平日料金はそれぞれ399元(約6600円)、299元(約5000円)となり、子どもが「大人」と判断された場合、料金差は祝祭日で144元(約2400円)、平日で100元(約1600円)も違いが現れる。

 劉裁判官によると、提訴後に、上海ディズニー側から劉裁判官に連絡があったという。ディズニー側は、子どもたちに対し大人料金を求めた対応について謝罪し、差額を返金することで、劉裁判官との和解と、訴訟の取り下げを希望したという。

 しかし、劉裁判官が提出した訴状では、現行の料金基準の見直しのほか、3~11歳までを子ども料金と定め、3歳以下は料金免除という香港ディズニーの運営方式を参考にした見直しを主張している。上海ディズニー側がこの要求に同意するなら訴訟を取り下げる考えだったが、現時点でディズニー側からの返答はない。

 劉裁判官は、「上海ディズニーの子ども料金の基準は、全く道理に合っていない。ほかの国や地域と比べても明らかに中国児童への対応が不平等だ」と強調する。

 現在、上海市にはディズニー以外でも、東方明珠電視塔(Oriental Pearl Tower)や上海海洋水族館(Shanghai Ocean Aquarium)なども同様に、子ども料金には140センチの基準がある。ほかの国内のアミューズメント施設でも150センチ以下の基準があり、それ以外は学生料金になることが多い。(c)東方新報/AFPBB News