数か月がたち、スウさんはこの仕事が好きになった。「以前より楽で、1日5〜6回、1回あたり20分程度の走行だけ」。運転代行を始めて10か月になるが、スウさんの1日あたりの平均収入は300元(約5千円)で、月収は1万元近くになる。

 スウさんは長いこと、このホテルを拠点にしている。午後8時ごろにやって来て、勤務時間の前半はホテルの入口で客待ちし、後半になるとKTV(中国のカラオケボックス)周辺に移動する。午前3時に仕事が終わり、帰宅して寝床につく。「起床は翌目の昼。夕食を食べてから仕事に出かけます」

■客は善良、チップもくれる

 男性中心の職場で女性が就業することに、中国では多くの関心を呼んでいる。

「代行運転手は女なのか」「女がなぜ運転代行の運転手をやっているんだ」。スウさんが仕事に就いた際、耳にタコができるほど聞かされた言葉だ。

「私はこの仕事は好きですよ。女性の運転手は少ないので、出会えるのは幸運ですね」。客の疑問に対し、仕事への情熱とユーモアを交えて返した。

 女性の運転手は、時として客に運転技術に対する疑問を抱かれることもあるが、スウさんが十年以上の運転歴があると知ると、たいていの客は安心して車のキーを委ねるという。

 運転手の仕事が好だというスウさんにとって重要なポイントは、「安心感」だという。「私が代行で運転する車は、20万元(約340万円)以上が多く、車のオーナーはお金に困っていない。それから、飲酒後代行運転を頼む人たちはたいてい品行方正で礼儀正しく、地位もある人たちなので、何もやましいことしはしないですよ」

 スウさんは、これまで代行運転手の仕事をしていて、酒で酩酊(めいてい)した客や無礼な客には出会ったことがない。「たいていの客は、私に対して友好的で、チップをくれることもあったんですよ」。(c)東方新報/AFPBB News