■トランプ政策に左右される移民・難民の運命

 独立系支援団体「国際難民支援会(Refugees International)」は、同じく難民の日に発表した報告書の中で、米政府への評価として不合格を意味する「F」を付け、イスラム教徒の受け入れは危険だとして世論を誤った方向に導いたとしてトランプ氏を非難した。

 これまで以上に厳しい確認作業によって米国の審査プロセスは長期化しており、難民受け入れ数は減少。事実上、2016年の米大統領選でトランプ氏が掲げた「すべてのイスラム教徒の入国禁止」という公約に少しずつ近づいている。

 一方でトランプ氏は20日、対メキシコ国境での移民親子引き離し措置を停止する大統領令に署名。共和党の他の議員や民主党、国際社会からの厳しい圧力にさらされる中、自らの強硬策を撤回することになった。この驚くべき方針転換は5月5日以降、不法入国後に親や親せきから引き離された子どもが2300人を超えている事態を受けてのものだ。

 ポンペオ国務長官は、世界難民の日に向けたメッセージの中で、米国は依然として人道支援のリーダーであり、戦争や災害による被害者を支援するために今年は80億ドル(約8800億円)を拠出したと述べ、自国の制度を擁護した。そして現在の移住者数については言及を避けながらも、米国には再定住プログラム開始以降、他のどの国よりも多い330万人が再定住していると強調した。

 ポンペオ氏は「世界中の移民の数は、過去最高水準に達している」ことを認め、各国政府や金融機関、民間企業などにさらなる支援を呼び掛ける一方、米国は「最も立場が弱い難民の入国を優先させる」と述べた。さらに全世界で6560万人が家を追われ、避難民数の過去最高を更新したとUNHCR が指摘している現状の発端となった紛争を終結させる努力を米国は継続すると約束した。(c)AFP/Dave Clark