【6月21日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が反移民政策をエスカレートさせる中、米国が今年受け入れた難民の数が、1980年の再定住プログラム開始以降で最低となっている。

 歴史的に見て米国は、戦火や迫害から逃れようとする人にとって最も寛容な移住地となってきた。マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、世界難民の日(World Refugee Day)の20日、同国のそうした実績を擁護し、次のように述べた。「われわれは、米国民の確固たる価値観を反映し、世界で最も弱い立場の難民に対する支援を今後も継続する」

 しかし、米国境で家族と引き離される亡命希望者の子どもの映像を見て多くの米国人がたじろぐ中、再定住を認められた難民の数が劇的に減っていることが公式データで明らかになっている。

■前政権の11万人台から、18年度は2万5000人未満?

 トランプ氏は昨年の時点で、難民受け入れ予定数を過去最低水準の4万5000人にまで削減していた。バラク・オバマ(Barack Obama)前政権最後の会計年度における11万人から大幅に減少させた。

 そして、2018年の会計年度の3分の2にあたる昨年10月1日から今年6月15日までの間に難民申請が認められた人は、主にアフリカや中東の難民キャンプから選ばれた最も立場の弱い1万5383人にとどまっている。

 米国の難民再定住プログラムは、1980年の米難民法の制定によって公式に開始されたが、国務省による受け入れ記録は1975年にまでさかのぼる。難民支援機関は、このペースで行けば今会計年度の米国の受け入れ数は2万5000人に届かないと予想。そうなった場合、2016年実績の8万4995人からも大幅に減り、1977年以降で最低となる。

 その一方で、アフリカや中東、南アジアにおける紛争のあおりで世界的危機が起きていると国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が指摘する中、米国は依然として最も好ましい移住地のトップに立ち続けている。

 主要な国際援助団体「国際救済委員会(International Rescue Committee)」は、世界難民の日に合わせて発表した非常に危機感の強い報告の中で「米国への難民の再定住は、急停止している」と指摘している。