■味気ないケーキ

 甘味のニューロン接続を活性化すると、マウスはただの水に対して、まるでそれが砂糖水であるかのように反応した。「実験ではこうしたニューロン接続を操作することで、知覚される味質を変化させて甘味を嫌いな味に変えたり、苦味を好きな味に変えたりすることもできた」

 また別の実験では、へんとう体のニューロン接続を「オフ」にしたが、大脳皮質味覚野には何も手を加えなかった。すると、マウスは食べ物を摂取しても、甘味を好む様子や苦味を嫌う様子を示さなかった。

「それはまるで、好物のチョコレートケーキをかじっても、そうすることから何の喜びも得られないようなもの」と、ワン氏は説明する。

「そうなれば、いつもはがつがつと食べていたものでも、数口かじればもう食べるのを止めるかもしれない」

 脳の複雑な味覚系が「個々に分離、改変、除去が可能な」個別の単位で構成されていることを、今回の結果は示唆していると、研究チームは述べている。(c)AFP