【5月12日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は11日、訪問先のネパールで大型水力発電所の起工式に出席した。インド政府は、近隣地域における中国の影響力拡大に対抗する動きを見せており、モディ首相によるネパール訪問もその一環。

 モディ首相は、ネパールのカドガ・プラサード・シャルマ・オリ(K.P. Sharma Oli)首相と共に「アルン第3(Arun III)水力発電所」の起工式に出席した。同発電所は、インドの支援の下で14億ドル(約1530億円)をかけて建設されるもので、長らく協議が続けられてきたこの事業によってネパールのエネルギー不足は一気に解消される可能性がある。

 ネパールでは大型水力発電所5基の建設が予定されており、このうち2基は中国企業の支援を受けている。アルン第3は建設が開始された第1号となることから、インドにとっては外交的勝利を飾る形となった。

 中国は近年、ネパールへの投資額でインドを圧倒しており、貧困国ネパールは対中関係に重心を移してきた。2017年の中国企業による対ネパール投資確約額は83億ドル(約9080億円)を超え、インドの3億1700万ドル(約347億円)を大きく上回った。ネパールは昨年5月、中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」に協力する合意文書を中国政府と交わしている。

 一方、「近隣国第一」政策を掲げるモディ首相は、インドにも多額のインフラ投資が確約できることを示そうと意気込みを示し、今回のネパール訪問もそうした政策の一環で、先月にはオリ首相が就任後初の外遊でインドのニューデリーを訪れていた。(c)AFP