【4月29日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席とインドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は27、28両日、中国・湖北(Hubei)省の武漢(Wuhan)で非公式会談を行った。両首脳はヒマラヤ山脈(Himalayas)の両国国境地帯で昨年発生したにらみ合いに関し、緊張緩和を約束した。

 両国間では、ヒマラヤ山脈のドクラム(Doklam)高地で昨年発生した双方の兵士によるにらみ合いを機に緊張が高まっていた。

 習、モディ両氏は武漢で、関係修復の方策を協議した。

 インド外務省が会談後に発表した声明で、「両首脳は、信頼と相互理解の構築、ならびに国境問題の管理における予測可能性と有効性の向上を目指し、両国軍間のコミュニケーション強化に向けた戦略的ガイダンスを打ち出した」と説明。さらに同省は、双方は今後、「さまざまな信頼醸成措置を誠実に実施する」とした。

 中国外務省ウェブサイトに掲載された声明によれば、習主席はモディ首相に「友好的な中印関係は世界の安定を守る上で重要だ」と伝えた。

 一方、中国側の声明は国境紛争に触れていない。

 中国側の声明によれば、習氏は席上、両国は伝統的に「独立した外交政策」を取っていると強調した。インドは現在、米国、オーストラリア、日本との間で、中国の台頭に対する勢力の均衡について協議しており、習主席の発言は、この動きに間接的に言及するもの。

 米ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権はこの地域を「インド太平洋( Indo-Pacific)」と呼んで言及し始め、インド、オーストラリア、日本と、貿易、安全保障について議論している。

 インド側は首脳会談で、中国政府の「一帯一路(Belt and Road)」構想に懸念を示したが、この問題はいずれの声明でも言及されていない。

「一帯一路」は国際的な貿易インフラ整備構想で、インドが全域の領有を主張し、パキスタンに「不法占拠」されていると訴えるカシミール(Kashmir)地方での大規模プロジェクトが含まれる。(c)AFP