■飛ぶか死ぬか

 今回の研究では、鳥類全体の約15%に当たる鳥が渡り行動をする一方で、その他の鳥が渡りをしないのはなぜかを調べるために理論モデルを使用した。

 研究チームはまず、現実の世界と同様に地域間で気候の違いがあるモデル世界を作成した。次に、仮想の鳥と、さまざまな地域で得られる餌から獲得できる「エネルギー」の推定量をモデルに追加した。

 これらの入力値を与えると、モデル上の鳥は現実世界で生じている鳥の分布に非常によく似た分布を示した。

 モデル上の鳥は餌が豊富な熱帯地方で活動を始めたが、競争の拡大によって一部の鳥は遠く離れた場所への移動の開始を余儀なくされた。

「混雑度が次第に増す仮想世界では、鳥は季節的に入手可能なエネルギーを供給するより極端な小地域を徐々に利用し始め、より長距離を移動するケースが多かった」と、研究チームは論文に記している。

 またこのモデルにより、地球の動植物がどのようにして現在の分布に至ったかに関する理解がさらに深まると、研究チームは付け加えた。

 さらに今回のモデルをめぐっては、他の動物が地球温暖化に応じてどのように移動する可能性があるかなど、今後の動物の動きを予測するのに役立つ可能性もある。(c)AFP/Mariëtte Le Roux