【5月19日 AFP】アフガニスタンのシタラ・ワファダル(Sitara Wafadar)さん(18)は、他の少女たちのような長い髪に憧れている。しかし両親から、望みながらも恵まれなかった「息子」になるよう強いられ、10年以上も少年の装いをしている。

 5人の姉妹がいるシタラさんは、ダリー語で「少年の格好をした」少女を意味する「バチャ・ポシュ」という風習に従って生きてきた。そうすることで、男性中心のこの国で息子としての義務を果たすことができるのだ。

 東部ナンガルハル(Nangarhar)州の村で、貧しい家族と泥れんが造りの家で暮らすシタラさんは、人生の大半を少年のふりをして過ごしてきた。

 4人の姉たちと同様に、学校に通う代わりに8歳の時からレンガ工場で働いている。姉たちは結婚後に家庭に入った。1日にれんが500個を作ってシタラさんが得る収入は、160アフガニ(200円超)ほどだ。

 父親のヌールさんは、「全能の神」が息子を授けてくれず、娘に少年の格好をさせて働かせる以外の選択肢はなかったと話す。

 シタラさん家族は、糖尿病の母親の医療費をまかなうためにレンガ工場と親戚に2万5000アフガニ(約3万9000円)の借金をしている。

 長い間少年として振る舞ってきたシタラさんだが、兄弟がいて自由に髪を伸ばし、学校に行くことができたらどんなだろうと今も想像するという。

 シタラさんはこう話す。「男の子の服を着る時、兄弟がいたらなと思う。そうしたら私の夢がかなうのに」(c)AFP/Noorullah Shirzada