■「あまりにも早く逝ってしまった」

 ヴィレムスはチームのツイッター(Twitter)に声明を掲載し、「想像を絶するほど悲しいことですが、われわれのライダーであり、友人でもあるミハエル・ホーラールツがこの世を去ったことをお伝えしなくてはなりません。全力で治療に当たりましたが、心停止により死去しました」と発表した。

 ホーラールツ選手の死を受け、特にベルギー国内では悲しみが広がっており、公共放送VRTのフラマン語放送では、自転車競技界が「喪に服している」と述べた。国際自転車競技連合(UCI)のダビド・ラパルティアン(David Lappartient)会長はツイッターに「ミハエル・ホーラールツのご家族をはじめ、チームと友人の皆さんに心からお悔やみを申し上げます。彼はあまりにも早く逝ってしまった。私たちも一緒に、この計り知れない悲しみを分かち合います」と投稿している。

 ツール・ド・フランス(Tour de France)やパリ~ルーベを主催するアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)の責任者は、レースドクターが「2~3分」以内にホーラルツ選手の元に駆けつけたとして、「医師が彼の蘇生を試みた。このようなレースでは、まず最初に彼らが救命措置を行い、それから地元の救急サービスを呼ぶことになっている」と述べた。

 ツール・ド・フランスの大会ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム(Christian Prudhomme)氏は、ホーラールツ選手の所属チームが8日のレースに招待されたことを喜んでいたことを明かし、「彼らはスタートラインにつくことを心から望んでいた。われわれも彼らに同情する」と述べた。

 UCIロード世界選手権大会(UCI Road World Championships)で通算3度の優勝を誇り、今回のレースを制したペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)もツイッターで哀悼の意を表し、「ボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)と私は、ホーラールツ選手に思いと祈りをささげる。本当に悲しいニュースだ」とつづった。

 パリ~ルーベはコースの大部分がでこぼこの石畳となっているほか、一部区間では深い泥道での走行を余儀なくされることから、「北の地獄」の異名で知られている。

 ホーラールツはまだ20歳だった2014年にヴィレムスでプロキャリアをスタートさせ、2018年は20日間レースに参戦。前週のツール・デ・フランドル(Tour des Flandres 2018)にも出場したが完走はしておらず、これまで主要大会での優勝経験はなかった。

 ベルギーの若手選手が自転車ロードレースで亡くなるのは、今回のレースが初めてではない。2016年には仏コルシカで行われるクリテリウム・アンテルナシオナル(Criterium International 2016)でベルギー出身の22歳、ダーン・ミンヘール(Daan Myngheer)選手が心臓発作を起こし、2日後に病院で死亡した。2011年にはジロ・デ・イタリア(2011 Giro d'Italia)の第3ステージで同じくベルギー出身の26歳、ワウテル・ウェイラント(Wouter Weylandt)選手が落車して死亡する事故が起きている。(c)AFP/Damian MCCALL and Guy JACKSON