【4月3日 AFP】(写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は2日、約1500人の中米出身者から成る移民の「キャラバン」が米国境を目指していることに怒りを表明し、メキシコ政府や米議会を激しく非難した。

 バズフィード(BuzzFeed)などの米メディアが日々の行程を追うこの「キャラバン」について、トランプ大統領は、その行動を阻止しようとしないメキシコ政府を非難するツイッター(Twitter)投稿を2日連続で行った。

 トランプ氏は、米国とメキシコ、カナダが締結している北米自由貿易協定(NAFTA)の撤廃も辞さない構えを示し、議会に対してはより厳格な移民法案を通過させ、対メキシコ国境に大規模な壁を建設する計画を支持するよう要求。

 さらに、未成年時に親に連れられ不法入国した、いわゆる「ドリーマー(Dreamer)」を強制送還から救済する「DACA(ダカ)」の代替制度についても、もはや支持しないと言明した。約70万人いるとされるドリーマーの大半が、メキシコ系とされる。

 トランプ氏はツイッター投稿で、「メキシコには、これらの大規模な『キャラバン』の入国を阻止する絶対的権力がある」とした上で、「(NAFTAからの恩恵という形で)米国から得ているそれだけの金があれば、人々がメキシコを経由してわが国に流入するのを防いでくれるはずだと願いたい。少なくとも議会がわが国の移民法を改正するまでは!」と記した。

 トランプ氏は麻薬の密輸やギャング犯罪、テロへの危惧から、国境の壁建設や、不法移民の強制送還、不法入国の大幅削減といった公約を掲げていたが、就任後1年2か月たった今も部分的な進展しか得られていないことから、憤りを募らせている。

 移民たちの「キャラバン」は、そんな大統領の怒りの火に油を注いだ。ホンジュラスやグアテマラ、エルサルバドルからの総勢1500人の一行については最初にバズフィードが報道。さらに先週末には、トランプ氏がよく視聴するFOXニュース(Fox News)でも報じられた。

 この運動は、「Pueblo Sin Frontera(国境なき人々)」と呼ばれる活動家団体が5年連続で実施しているもの。活動家の一人、イリネオ・ムヒカ(Irineo Mujica)氏はAFPに対し、移民らは「貧困と、犯罪組織からの暴力が原因で」母国を後にしたと説明した。

 一行は3月25日、米国境を目指してメキシコ南部チアパス(Chiapas)州を出発。ムヒカ氏の話では、このうちの多くが国境での難民申請を希望しているという。(c)AFP/Paul HANDLEY