【3月27日 AFP】大阪の学校法人、森友学園(Moritomo Gakuen)への国有地売却をめぐって財務省が決裁文書を改ざんしていた問題で、当時の理財局長だった佐川宣寿(Nobuhisa Sagawa)前国税庁長官(60)は27日、参院予算委員会の証人喚問で首相官邸からの指示はなかったと述べた。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相のクロニズム(縁故主義)が絡んだスキャンダルを受けて政権の支持率は急落している。

 国民の高い関心を集め、テレビでも生中継された証人喚問で、佐川氏は文書の改ざんは財務省理財局の中で行われたものだと説明し、安倍首相、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官、麻生太郎(Taro Aso)財務相のいずれからも改ざんの指示などはなかったと述べた。

 一方、佐川氏は改ざんが行われた経緯や時期などの詳細については、捜査の対象となっており刑事訴追を受ける恐れがあるとして答弁を拒否した。

 佐川氏の証人喚問に先立って行われた世論調査で安倍政権の支持率は10ポイント以上も急落。文書改ざん問題の影響とみられ、野党は首相の辞任を求めている。

 財務省の文書改ざんスキャンダルは、2016年に安倍首相と昭恵(Akie Abe)夫人と親しいと主張する籠池泰典(Yasunori Kagoike)氏が運営する国粋主義的な幼稚園の建設予定地に国有地が安値で売却された問題に絡んだもの。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA