■生物多様性守るためには?

 これらの報告書からは、多くの地域では、化石燃料の使用によりもたらされた気候変動が、生物多様性の衰退を助長していることが明らかになった。

 ワトソン氏は、「経済成長は続いて行く。人口増加も2050年までは続くだろう。従って、今後も資源需要が伸びることが予想される」と語る。

 最良のシナリオでも、地球温暖化は種の減少を助長し続け、生態系のさらなる劣化を引き起こすと考えられる。

 一方で科学者らは、実現可能な解決策も指摘する。さらなる保護区の設置や劣化地帯の修復、持続不可能な農業を助長している交付金の見直しなどだ。

 各国政府や企業、個人は、農業や漁業、林業、鉱業、インフラ開発などに関する決定を下す際、生物多様性への影響を考慮する必要がある。

 ワトソン氏は地域ごとに解決策は異なると指摘し、害のあるものの中止や方向転換に「遅すぎることはない」と話した。「すべてを止められるかと問われれば答えはノーだが、大幅にペースを落とせるかと問われれば答えはイエスだ」 (c)AFP/Mariëtte Le Roux