【6月1日 AFP】増え続ける人口、および食糧や水、居住空間に対する需要の高まりは、今後50年間に野生動物を「先例のない」絶滅危機に追い込む恐れがあると、専門家らが5月31日に発表の考察記事で警鐘を鳴らした。

 学術誌「ネイチャー(Nature)」の付録Insightに掲載された記事には、アフリカやアジア、南米といった世界で最も多様な生物が生息する地域で、360種を超える大型ほ乳類が最大規模の脅威に直面していると記された。

 しかし、これを阻止する方法が全くないわけではない。記事は、人の食生活や農耕技術を抜本的に見直すことで、2060年までに世界100億人に「健康的な食」を提供できるようになると同時に、現存する大半の野生生物種の生息地の保護もできるとしている。

 現生人類がアフリカから世界各地に広がってから、種の絶滅は絶え間なく起きている。

 今から約3000年前までに、地球上に生息していた、体重44キロ超の大型陸生ほ乳類の約半数と鳥類の15%が既に絶滅した。

 現在の人口は、当時の約25倍の70億人となっているが、今世紀末までにはさらに40億人増える見通しだ。

 記事は、既にほ乳類の4分の1と鳥類の13%が絶滅の危機に瀕していることを指摘しながら、「現時点での鳥類やほ乳類、両生類の絶滅のスピードは、隕石落下や火山の大規模噴火、その他の地殻変動的な事象によってもたらされた過去5億年での5回の世界的な大量絶滅と同等」と説明している。