【3月24日 AFP】(更新、写真追加)フランス南部で23日に起きた銃撃・立てこもり事件で、自ら人質女性の身代わりになり、犯人に撃たれるなどして重体となっていた警察官のアルノー・ベルトラム(Arnaud Beltrame)氏(45)が死亡した。ジェラール・コロン(Gerard Collomb)内相が24日、明らかにした。この事件の犠牲者は4人となった。

 23日午前10時30分(日本時間同日午後6時30分)ごろ、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓っていたとされるラドワン・ラクディム(Radouane Lakdim)容疑者(25)がカルカソンヌ(Carcassonne)で車を乗っ取り、車内にいた2人を撃った。運転していた人は負傷し、同乗者は死亡した。運転していた人は重体となっている。

 容疑者はさらに同僚らと共にジョギングをしていた警察官1人を撃って負傷させた後、トレブ(Trebes)にあるスーパー「シュペルU(Super U)」に押し入って客と従業員の各1人を射殺し、人質を取って店内に立てこもった。

 事件後現場で記者会見したコロン内相によると、立てこもりは午前11時ごろに始まり、直後に警官隊が現場に到着。ベルトラム氏は事件発生後に現場に駆け付けた最初の警察官らのうちの一人だった。店内にいた人の一部を救出したが女性1人が人質に取られた。そこでベルトラム氏は女性との交換を志願し、交渉が行われる間、容疑者の人質となった。

 コロン内相によると、ベルトラム氏はテーブルの上に携帯電話を置き、建物を包囲していた警官隊に中の状況が聞こえるようにしていた。その後、銃声が聞こえたことから、国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)が建物内に突入し容疑を射殺した。捜査当局筋がAFPに語ったところによるとベルトラム氏は容疑者に2度撃たれた上、刃物で数回刺されていた。

 コロン内相は自身のツイッター(Twitter)でベルトラム氏が死亡したことを明らかにし、「彼は国のために犠牲になった。フランスは決して彼の英雄的行動を忘れない」と述べた。(c)AFP/Remy ZAKA with Pauline TALAGRAND and Katy LEE in Paris