【3月21日 AFP】米法曹界の「レジェンド」、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)連邦最高裁判事が今月15日、85歳の誕生日を迎えた。

 ラッパーのザ・ノトーリアス・B.I.G.をもじって「ザ・ノトーリアス・RBG」とも呼ばれる同判事は、長年のキャリアを通して多くのファンを獲得してきた。判事の画像はネット上で何かと使われるだけでなく、Tシャツなどのグッズまで登場。5月にはドキュメンタリーも公開される予定だ。

 支持者たちから法と道徳の先導者とみなされているリベラル派のギンズバーグ判事は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の指名によって定員9人の連邦最高裁判事が保守派寄りに傾くことを警戒し、トランプ氏の退任までは現職を退かないことを明言している。

 2016年の大統領選中には、トランプ氏を「詐欺師」「自意識過剰」とこき下ろしたことも。後日謝罪したものの、この件は彼女の率直さを示すエピソードとして記憶に残った。

 ニューヨーク出身のギンズバーグ判事は、1970年代には女性解放運動のパイオニアとしても活動。その後は中絶の権利や同性婚の合法化を支持するなど、法律家としての立場から革新的な意見を貫いてきた。1993年、ビル・クリントン(Bill Clinton)大統領に指名され、最高裁判事に就任した。

 公開予定のドキュメンタリーでは、ジムで腕立て伏せを20回する様子などが映し出され、通常は私生活を明かすことのない最高裁判事としては異例の内容となっている。

 ギンズバーグ判事の人気は高く、どれほど退屈な議論の場であっても彼女が出演するとなれば大勢の人が押し寄せる。外に出れば一緒に自撮りを撮りたがるファンたちに囲まれ、その厳格な表情がビーチバッグやピンバッジ、Tシャツ、コーヒーカップや子どもの絵本にも登場する。

 最高裁判事に定年はなく、ギンズバーグ判事は1月に「全力で仕事ができているうちは、ここに残る」と述べ、引退する意思がないことを明言している。(c)AFP