■1日に0.25秒

 5年間のプリプロダクションの後、さらに2年をかけて、世界から集まったアーティスト125人が、コビエラ氏が注意深く見守る前で作品に生命を吹き込んだ。ポーランド北部バルト海に面する港湾都市グダニスク(Gdansk)の広いスタジオでアーティストたちが、俳優たちによって演じられ、撮影されたシーンをベースに絵画を制作した。

 この映画ではゴッホの「星月夜(The Starry Night)」など世界的に有名な絵画もフィーチャーされている。

 93分間の映画を絵画で埋めるのは簡単ではない。コビエラ氏は「仕事のペースはきわめて遅く、1日に0.25秒分しか進まない」と語った。

 映画の1秒には、平均12枚の手書きフレームが使われるが、アーティストらが1日に制作できるフレーム数平均6フレーム。一般的なシーンの0.5秒分だ。

 だがコビエラ氏は、手書きフレームがデジタルアニメーションに勝ると話す。「(デジタル)アニメでは表情の描写に限界があるが、油彩ではより優れた表現も可能になる」

■自殺に関する謎

 ヤツェク・デネル(Jacek Dehnel)氏がオリジナル脚本を手掛けた『ゴッホ 最期の手紙』は、ゴッホの作品とともに、銃による自殺と一般的に考えられているその死について探る内容だ。

 映画では、ゴッホの自殺に納得できず、真実を求めて旅をする若者アルマン・ルーラン(Armand Roulin)の姿が描かれており、観客は彼を通じて絵画の世界へと入り込む。アルマンは、複数のゴッホ作品で描かれている郵便配達人の息子だ。

 映画の制作者らは、既に次の構想を練っているようだ。次作では、スペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)の不穏な絵画作品をベースにホラー映画を撮ることも考えているという。(c)AFP/Maja CZARNECKA