■爆発の瞬間からのみ得られる情報

 ベルステン氏が天文学者の国際グループに通知したところ、数時間のうちに世界中の第一線の望遠鏡が「SN 2016gkg」と新たに命名された超新星に向けられた。

 観測データは、破壊的な崩壊に至る直前の恒星の物理的構造や、爆発自体の性質などに関する重要な手がかりを提供するものだ。米カリフォルニア州にあるリック天文台(Lick Observatory)でフォローアップ観測を行ったフィリッペンコ氏は「爆発を始める瞬間の恒星を観測することで得られる情報は、それ以外の方法で直接的に入手することは不可能だ」と説明した。

 爆発現象の分析から、SN 2016gkgはIIb型超新星であることが判明。このタイプの超新星は、爆発するまでに水素の外層の大半を失った大質量星で発生する。IIb型超新星は、1987年にフィリッペンコ氏が初めて同定した。

 研究チームは観測データと理論モデルを組み合わせて、爆発を起こした恒星の元々の質量を太陽質量の約20倍と推定した。だが、この恒星は爆発した時点で質量の4分の3を失っていた。失われた質量は連星系の伴星に吸収された可能性が高い。(c)AFP/Marlowe HOOD