【1月15日 AFP】これまで観測された中で最も明るい「星の爆発」現象を発見したとの研究結果が14日、発表された。光度は太陽の5700億倍で、既知の超新星の2倍以上も強力な光を放っており、その途方もないエネルギーに科学者らは当惑しているという。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された研究論文によると、地球から約38億光年の距離にあるこの「ASASSN-15lh」は、超高輝度超新星として知られる部類に属する超新星では、これまで見つかっている中で最も近い距離にあるものの一つだという。

 論文の主執筆者で、中国・北京大学(Peking University)カブリ天文学・宇宙物理学研究所(Kavli Institute for Astronomy and Astrophysics)の天文学者、東蘇勃(Subo Dong)研究教授は「ASASSN-15lhは、人類史上で発見された最も強力な超新星だ」と話す。

 ASASSN-15lhの中心には、直径わずか16キロの天体がある。

 だが、ASASSN-15lhは、放出しているエネルギーが平均的な超新星の200倍で、天の川銀河(Milky Way)の星全部を合わせたよりも20倍明るい。これほどのエネルギーがどのようにして生成されているのかについては謎のままだ。

 研究を率いた研究者の一人、米オハイオ州立大学(Ohio State University)のクリストフ・スタネク(Krzysztof Stanek)氏は「このようなことが一体どうして起こり得るのか、という疑問を発しないではいられない」と話した。同大は、超新星全天自動サーベイ(All Sky Automated Survey for Supernovae、ASAS-SN、アサシンと発音)として知られる、世界各地にある多数の小型望遠鏡を用いて宇宙の明るい天体を検出するための観測プロジェクトを主導している。

 ASAS-SNプロジェクトでは、2014年以降で約250個の超新星が発見されている。2015年6月に明るさが急激に増大し始めたASASSN-15lhも、同プロジェクトで最近発見された。

 何がASASSN-15lhにエネルギーを供給している可能性があるかについては、科学者らはまだお手上げ状態のままだが、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)によって今後数か月以内に、ASASSN-15lhと所属する銀河に関するさらに詳細な情報が得られることが期待されている。(c)AFP