戦火さえ来ない最果ての地、アフガニスタンのワハン回廊
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■道路建設で変化が?
ラジオが聞けることもたまにあり、そういうときに彼らが聞くのはロシアの放送かアフガニスタンのニュース。イランの音楽も人気がある。だがそうした機会が訪れることはめったになく、電池が切れてしまえば、貿易業者が次にこの地にやって来るまでラジオは沈黙したままだ。
だが、年に300日以上は氷点下の気温が続くこの地域に牧歌的な雰囲気はまるでない。
ささいな風邪でさえ場合によっては命取りになり、出産は人の誕生であると同時に人の死を意味することも少なくない。終わりのない悲しみのせいで人々が手放せなくなったのが、自由に入手できる唯一の薬物、アヘンだ。
名字を持たずフルネームが1語だけだというナザル(Nazar)さんは、アヘンは「私たちが持っている、ただ一つのアフガニスタンらしいものだ」と語った。「皆がやめられずにいる」
だが彼らのそうした生活にも変化が訪れるかもしれない。アフガニスタン政府は、ワハン回廊とバダフシャン(Badakhshan)州の他地域を道路で結ぶ可能性を探るため、空から測量を実施する計画を発表している。さらにアフガニスタン当局によれば、ワハン回廊の北端に中国が軍事基地を建設する計画があり、両国は協議を進めている。
こうした計画が実現すれば、この地も貿易や観光の恩恵を享受し、切実な問題である医療施設も増える可能性がある。
だが、それはまた、戦争の残忍さから守られてきたワハン人の生活が終わることを意味するのかもしれない。(c)AFP/Gohar ABBAS