【2月16日 AFP】平昌冬季五輪は16日、フィギュアスケートの男子シングル・ショートプログラム(SP)が行われ、羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は完璧な演技で111.68点を記録し、五輪連覇へ大きく前進した。3か月間の欠場を余儀なくされた右足首のけがの影響をまったく感じさせずに4点以上のリードを築き、1948年大会と1952年大会を制したディック・バトン(Dick Button)氏以来となる連覇に向け、これ以上ないスタートを切った。

 フィギュアスケート欧州選手権(ISU European Figure Skating Championships)で6連覇中のハビエル・フェルナンデス(Javier Fernandez、スペイン)が107.58点で2位につけ、17日のフリースケーティング(FS)に向けてトップを追走している。

 現在23歳の羽生は、「特に不満な点もなく、自分自身も疑問に思うエレメンツ(要素)も何もなくできたので、非常にうれしく思っています」とすると、「やるべきことはやってきた。スケートができなかった2か月間も努力を続けてきました。(17日は)その努力の結果を出したい」とコメントした。

 ソチ冬季五輪以降、日本では熱狂的な人気を誇り、公式練習でさえもあらゆる動作やジャンプのたびに悲鳴のような声援を浴びた絶対王者の羽生は、冒頭の4回転ジャンプから最後のコンビネーションスピンまで、華麗に宙を舞った瞬間から24時間後に金メダルを手にする姿を想像させた。

 フレデリック・ショパン(Frederic Chopin)作曲の『バラード第1番(Ballade No 1)』に乗せた今回のルーティンは、4年前のソチ五輪で記録した自身のSPを10点以上も上回った。そして音楽が終わると、リンクには羽生の応援団から「くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)」の雨が降り注ぐというおなじみの光景が見られた。

 50人もの少女たちがスケート靴を履いたアリの行列のように数百個ものぬいぐるみを拾い集めた直後、羽生の最大のライバルと目されていた18歳のネイサン・チェン(Nathan Chen、米国)が登場した。

 チェンは昨シーズン、羽生との直接対決を制して優勝した経験を持つ唯一の選手となったものの、この日は冒頭の4回転と3回転の連続ジャンプでつまずくと、3回転半ジャンプでも体勢を崩してしまい、この2つの致命的なミスが響いて17位に沈んでしまった。

 これで羽生の五輪連覇という歴史的快挙を阻む最大のライバルは、五輪でキャリア初のメダル獲得に近づいたフェルナンデスになるとみられている。サッカーのスペイン1部リーグ、レアル・マドリード(Real Madrid)のファンである26歳のフェルナンデスは、チャーリー・チャップリン(Charlie Chaplin)の映画『モダン・タイムス(Modern Times)』の音楽に乗せたコミカルな演技で観客を楽しませた。

 宇野昌磨(Shoma Uno)が104.17点で3位に続き、中国の金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン)が103.32点で4位につけている。(c)AFP/Nick REEVES