■SOS信号

 襲撃後、獲物のシロアリを巣に運ぶアリがいる一方で、一部は傷を負った仲間をさがして周辺を見て回る。

 フランク氏によると、傷ついたアリは特殊な腺から分泌される化学物質のフェロモンを使って助けを呼ぶのだという。ここではフェロモンがSOS信号の役目を果たす。

 さらに驚くべきことに、6本ある足のうちの5本を食いちぎられるなど、ひどいけがをしたアリは、あえて自らを連れて行くなと救助アリに合図をする。けがの程度が軽いアリは、救助アリの仕事をやりやすくするためにじっと動かないでいるが、致命的な傷を負ったアリはそれとは異なり、救助アリがあきらめて先へ進むまで激しく暴れ、抗うのだという。

 フランク氏によると、通常の襲撃1回につきコロニーのアリ3~5匹が傷を負うため、1日に合計約20匹の負傷アリが発生することになるとされる。

 フランク氏は、AFPの取材に応じた電子メールで「コロニーでは出生率が1日に10~14匹程度と比較的低いため、1日にこれほど多数の負傷アリが出ることは致命的だ。もし傷ついたアリを救うことができなければ、彼らにとって極めて大きな犠牲となる」と説明している。(c)AFP/Mariette le Roux and Laurence Coustal