■死刑宣告

 捜査当局が、侵入者の目的が、当初疑われた強盗ではないと結論づけるのに時間はかからなかった。盗られたものは長男の携帯電話のみで、犯人が家に押し入ろうとした形跡もなかったからだ。

 捜査の手が迫っていると察した長男は、2004年にメキシコに逃亡。偽名での生活を始めた。しかしその1年後、共犯者の一人が真実を話し、2005年9月に逮捕。米国に強制送還された。

 2007年3月、長男は死刑を宣告された。死刑の回避を求めたケントさんの努力は実らなかった。

 ケントさんは「妻と次男の死で私は打ちひしがれ、乗り越えるには何年ものセラピーが必要だった。そのうえ、将来起き得ることを考えるとさらなるカウンセリングが必要だった」と述べ、「そしてその時が来てしまった。死刑が執行されれば、私に残されるのはさらなるトラウマと絶望感だ」と続けた。

 38歳になった長男は、2月22日に薬物注射による死刑が執行される。看守らは、バート死刑囚について協力的で利他的な模範囚だと述べている。

 事件についての著書もあるケントさんは「長男は成長した」と語り、アンガーマネジメントや信仰の講義を受け、学士号を取得し、修士号の修了も目前だと説明する。

 弁護団は死刑を回避する全ての手を出し尽くした。刑の執行は、州知事にゆだねられる。

 弁護団のキース・ハンプトン(Keith Hampton)氏は、「想像してほしい。家族の中でもっとも愛する人2人を思い浮かべるとする。片方がもう片方を殺す。罰は絶対に必要だ」

「だが、あなたは処刑を求めるだろうか? その人物が、残された唯一の子どもだとしたら?」 (c)AFP/Sébastien BLANC