■「根本的に異なる」カマキリの立体視

 立体視覚は、人や他の動物が見ている対象までの距離を判断する助けになる。左右の目はわずかに異なる角度で対象を見ているが、脳はこの二つの映像を融合させ、それらの違いを用いて対象までの距離がどれくらいかを見積もる。

 研究チームによると、立体視能力を持つ動物はカマキリの他にもサル、ネコ、ウマ、フクロウ、ヒキガエルなどがいるという。

 カマキリは立体視覚を持つことが知られている唯一の昆虫だが、脳が非常に小さいことから、よりシンプルな作用が関与しているに違いないと、科学者らの間で長年考えられてきた。

 これを検証するため、研究チームは偏光フィルターで特殊な超小型3D眼鏡を作製し、成体のカマキリ10匹の頭部に蜜ろうを使って装着した。

 実験の結果、カマキリの立体視は「根本的に異なる計算アルゴリズムを用いている」ことが明らかになったという。「カマキリの立体視は、静止画像で機能している形跡がまったくない一方、動いている対象までの距離を正しく判別する」と研究チームは説明している。 (c)AFP/Mariette Le Roux