【2月2日 AFP】インターネット上の架空のキャラクターに触発されて友人を殺害しようとしたとして殺人未遂罪に問われた10代の少女2人のうちの一人に対し、米裁判所は1日、精神科病院への収容40年の判決を言い渡した。

 モーガン・ゲイザー(Morgan Geyser)被告(15)は12歳だった2014年、友人のアニッサ・ウェイアー(Anissa Weier)被告(15)と共に、同級生のペイトン・ロートナー(Payton Leutner)さんを19回にわたって刺した上でウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)郊外の森の中に置き去りにした。ロートナーさんは自力で森から這い出し、一命を取り留めた。

 犯行の動機について被告2人は、ホラー専門サイト「クリーピーパスタ(CreepyPasta)」で話題となっていた架空の不吉なキャラクター「スレンダーマン(Slender Man)」の要求を満たしたかったと主張した。スレンダーマンは白黒写真の背景に写り込んでいるとされる手足の長い長身の男で、不吉なインターネット・ミームとして拡散したキャラクターだ。

 被告2人は、ロートナーさんを殺せというスレンダーマンの要求に応えなければ家族に危害が及ぶと思ったと述べていた。

 ゲイザー被告の弁護士は十分に回復したとみなされれば監視下で退院が認められる余地のある少年院に少なくとも25年間収容することを求めていた。しかし裁判官はゲイザー被告に対し、成人向けの精神科病院への収容40年の判決を言い渡した。

 両被告は精神障害があるとして本件について責任能力なしと判断された。

 この事件に着想を得て2016年、両被告が取り調べの際にロートナーさんを刺したことを認める映像を収録したドキュメンタリー映画『Beware the Slenderman(スレンダーマンに気を付けろ)』が制作された。

 ウェイアー被告は昨年12月、精神科病院への収容25年の判決を言い渡された。ウェイアー被告の収容期間がゲイザー被告よりも短いのは司法取引に応じたため。

 ゲイザー被告は半年ごとに裁判所の監督下での釈放を申し立てることができるが、その際には裁判官が法廷で精神状態を判断することになる。(c)AFP