【1月19日 AFP】トルコ北部トラブゾン(Trabzon)空港で着陸直後に滑走路を外れ、海へ転落する寸前に土手で停止していたトルコの格安航空会社(LCC)ペガサス航空(Pegasus Airlines)の旅客機が18日、クレーン2基を使って滑走路に引き揚げられた。

 このボーイング(Boeing)737-800型機は13日夜、首都アンカラからトラブゾン空港に飛来して着陸したところ滑走路を外れて土手に落下し、黒海(Black Sea)の海面までわずか数メートルの位置で停止。その後4日間放置されていた。

 トルコの航空当局は同機の引き揚げ作業に当たり、トラブゾン空港を離着陸する全便の運航を止めた。同空港に着陸予定だった便は近隣にあり同じく黒海に面したオルドゥ・ギレスン(Ordu-Giresun)空港に目的地を変更した。

 半国営のアナトリア(Anadolu)通信によると、引き揚げ作業はアンカラとトルコ北部の黒海沿岸の都市サムスン(Samsun)から調達したクレーン2基を使って行われた。

 機体は主翼の部分と機首の部分にワイヤが巻き付けられ、機首が下を向き、尾翼が宙に浮いた状態で細心の注意を払って2時間かけてクレーンで引き揚げられ、その後水平状態に戻された。総作業時間は11時間に及んだ。引き揚げ作業による機体の損傷はなかった。

 地元の人たちは空港外周のフェンス前や海上のボートからこの珍しい引き揚げ作業を見物した。

 同機は残存燃料を空にしてから格納庫に移されることになっている。そこでようやく乗客の手荷物や預け入れ荷物などが取り出されることになる。

 乗客162人乗員6人は全員無事に避難した。目撃者らは事故当時、死傷者が一人も出ず、同機が海に突っ込まなかったのは奇跡だと話していた。(c)AFP