【1月5日 AFP】イスラム過激派の戦闘員と結婚するためシリアに渡航し、過激派メンバーとして同地のクルド人支配地域で逮捕されたフランス国籍の女たちについて、仏政府は4日、公正な裁判が保証されるならシリア国内で裁かれるべきだとの見解を示した。

 フランスでは、シリア入りしてイスラム過激派の妻となった後に身柄を拘束された女たちの処遇をめぐる議論が続いており、過激派組織「イスラム国(IS)」が各地で敗北を重ねるようになってからは特に激しさを増している。

 現地で拘束された欧州出身の女たちは本国への送還を求めている。先月逮捕され現在3人の幼い子どもたちと共にシリアのクルド人キャンプに拘束されている仏西部ブルターニュ(Brittany)地方出身のエミリー・コニグ(Emilie Konig)容疑者(33)も今週に入り、本国送還を希望する旨を表明した。

 だが、バンジャマン・グリボー(Benjamin Griveaux)仏政府報道官は、コニグ容疑者の帰国を認める予定はないことを仏ラジオ・モンテカルロ(RMC)に示唆。もし「彼女たちの弁護権を確実に保障できる公正な司法制度がある」ならば、現地で拘束された女は「現地で裁かれる」べきだと語り、その上で「いかなる罪を犯したにせよ、またそれが何より卑劣な犯罪だったとしても、海外にいる仏市民は弁護権を保障されなければならない」と強調した。

 コニグ容疑者は仏憲兵の娘で、最初の夫と出会ったのちイスラム教に改宗。2012年、子ども2人を仏国内に残してシリアに渡航し、2人目の夫と結婚した。夫はその後死亡したが、コニグ容疑者は過激派のプロパガンダ映像に頻繁に登場。また、仏軍兵士の家族や仏公的機関を標的とした攻撃を行うようフランス国内の関係者に呼び掛けるメッセージを送り、仏情報機関に傍受されていた。国連(UN)と米国は、同容疑者を危険な過激派のリストに掲載している。

 仏捜査関係者によれば、クルド人部隊とイラク軍の拘束下にあるフランス国籍の過激派は男女合わせて約30人に上っている。(c)AFP/ Katy Lee