■主張は平行線

 事件の舞台となった河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)の市体育局は、「当局も運動場の建設を急いでいるが、短期間での解決は難しい」としている。コートの管理員は「我々も、広場ダンスの人たちに別の場所を探してもらうように掛け合ってみるつもりだ」と困惑を隠せない。

 広場ダンスの集団とバスケットボールをする若者のグループとでそれぞれ、バスケのコートを半分ずつ使うという提案が若者側から出されたが、楊おばさんは「非現実的。万が一、ボールがお年寄りにぶつかったらどうするの?」とつっぱねた。

 衝突事件の発生後、バスケのコートは管理者である公園によって使用禁止になってしまった。責任者によると、午前中のみ若者たちのために開放し、広場ダンス愛好家の中高年に対しては、公園内の別の場所を提供したという。コートの半分ほどの広さだが、照明も設置された。

 しかし、広場ダンスのグループは妥協していないようだ。楊おばさんは、「この場所は少し狭い。私たちは200人以上いるから、やはりバスケットボールコートを開放してもらいたい」と話す。

 ダンスグループの代表を務める韓おじさんは、「公園側は、バスケのコートを使いたいのなら、我々の定刻を40分ほど遅くして午後7時半から始めるのはどうかと提案してきている。だが、そうなるとコートは暗くなる。高齢者は目が良くないので危ない。照明を増やしてほしい」と話す。若者を殴った事件に関しては、「双方に問題があった」と考えているという。

 政府が11月に発表した通知は、「広場ダンスを文化として洗練させ、世間の理解を得られるようにチームの公約を定め、広場ダンスを楽しむ際には、自らで管理・監督を徹底する。広場ダンスの集団間の交流と相互理解を深め、共に発展していく」などと呼びかけている。

 中高年がつどって生まれる広場ダンスは、踊りのルールも特に決まっておらず、それぞれが好きなように楽しめるのがいいところ。いわば、中高年による自由なダンス・ムーブメントだ。大きく変ぼうを遂げる中国で、どこまで広がりを見せるのだろうか? (c)東方新報/AFPBB News