【12月29日 AFP】今年のサッカーU-17W杯(2017 FIFA U-17 World Cup)で得点王に輝き、イングランド代表の優勝に貢献したリアン・ブリュースター(Rhian Brewster)が28日、欧州サッカー連盟(UEFA)は人種差別について「まったく気にしていない」と批判した。イングランド・プレミアリーグ、リバプール(Liverpool FC)のユースチームに所属している同選手は、今年だけでも7度、自分やチームメートへの人種差別を目撃したと訴えている。

 これまでトップチームでの出場は果たしていない17歳のブリュースターは、英紙ガーディアン(Guardian)に対し、「UEFAがこの問題を深刻にとらえているとは思えない。まったく気にしていないんだ。臭いものにふたをしているように感じる」とコメントした。

 3週間前にロシアのスパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)と対戦したUEFAユースリーグ(UEFA Youth League)の試合で、ブリュースターは相手チームの主将レオニド・ミロノフ(Leonid Mironov)から人種差別的な言葉を浴びせられたものの、UEFAからの審問はまだ行われていないという。ミロノフは人種的中傷行為については否定している。

 ブリュースターはまた、U-17欧州選手権(UEFA European Under-17 Championship)のウクライナ戦や、スペイン1部リーグのセビージャFC(Sevilla FC)とのU-19対決でも暴言を吐かれ、その影響を受けたとして「それが起きた日の夜は上の空だった。とにかく一人になりたかった。一人になって考えたかった。次の日もそのことが頭から離れなかった」と告白。W杯決勝のスペイン戦では、U-17のチームメートであるモーガン・ギブス・ホワイト(Morgan Gibbs-White)も相手チームから「モンキー」と呼ばれていたという。

 UEFAの規定では、人種差別行為に及んだと判断された選手は最低10試合の出場停止処分が下されることになっている。サッカー界の差別撲滅を目指す英国の団体「Kick It Out」は、ブリュースターの告発を称賛し、公式ツイッター(Twitter)に「@RhianBrewster9(ブリュースター)が、これまで人種差別を受けていたことを公表したことは素晴らしい勇気です。この容認できない行為に対し、今こそ関係当局が行動を起こすべきです」と投稿した。(c)AFP