■「危急種」に指定

 毎年の産卵期に漁船約500隻の船団が200万匹ものコルビナを捕獲するため、この魚種は危機的状況に追い込まれている。

 コルビナは国際自然保護連合(IUCN)による世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List)」で「危急種(Vulnerable)」に指定されている。

 ローウェル、エリスマン両氏とその他数名の専門家らによるチームは今年、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表した論文で、コルビナの求愛音を聞いて個体数を推定する新手法を発表した。

 湾の水の濁りから、コルビナの個体数を目視で計数するのが困難となっている。そのため、この手法は科学者らが保護の目的で個体数の変化を追跡調査する助けになる可能性があるという。

 研究チームは2014年の3月と4月に求愛音の測定を行った。この時には推定150万匹のコルビナが繁殖のために集まっていた。この時の測定についてローウェル氏は、野生生物の繁殖行動に伴う音としては史上最大級で、録音された魚類に関するものとしては最大音量だとした。

 ただ、陸揚げされるコルビナのサイズが年々小さくなっていることから、乱獲による個体数の減少が示唆されている。乱獲は、繁殖で再生可能な個体数を上回るペースで捕獲されると起きる。

「漁業管理者らは、この野生生物の壮大な営みが姿を消してしまわないようにするための予防手段を導入するべきだ」と、ローウェル氏は話した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux