【4月28日 AFP】クジャクは雌への求愛行動で色鮮やかな飾り羽を扇形に広げて振動させる。その際、羽の先端部にある玉虫色の模様はほとんど動かず、まるで相手をじっと見つめる目のようになり、これが、雌のクジャクを誘う際に有効に働いているとする研究論文が27日、発表された。

 米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された論文には、「『尾羽を振動させる』誇示行動は、視覚的に雌の注意を引き付けるもので、交尾の前段階で常にみられる」とある。

 雌にアプローチして羽を振動させるこの求愛行動は、進化論を提唱した英国の自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)が150年前に最初に指摘したが、生体力学がどのように機能しているかに関しては、これまで十分に解明されていなかった。

 そこで今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)のロズリン・デーキン(Roslyn Dakin)氏率いる研究チームは、このクジャクの求愛ダンスを詳細に調べた。求愛ダンスでは、最大1.5メートルの長さの数十本の尾羽を震わせて誇示行動をするが、繁殖期は2~3か月間続くこともあり、雄はその間、数百時間にわたり飾り羽を繰り返し大きく広げるのだという。

 研究チームは、成鳥のクジャク14羽をハイスピードカメラで撮影し、飾り羽の振動運動を分析した。また実験室で、個々の羽の動きについても調べた。

 その結果、クジャクの目玉模様を構成する羽には「風切り羽に見られる微小のフックと似た構造があり、これで互いに固定されている」ことが分かった。「これにより、目玉模様が周囲の自由に動く羽枝(うし)より高密度になり、固定されていない羽枝が背景で激しく震動する中で、目玉模様が定位置に保持される」とし、この構造で、求愛の誇示行動中に模様の静止状態を保つとした。

 さらに、尾羽が長いほど、雄はより高速で尾羽を振動させられることも分かった。

 羽をこのように高速で動かすためは、より高い筋力が必要であるとも考えられる。これは、体力を誇示する雌への強力なアピールになっているのかもしれない。

 大半の飾り羽の先端部には目玉模様が1個ある。これまでの研究では、この目玉模様の玉虫色の度合いが強いほど、より多くの交尾相手を獲得できることが判明している。

 今回の研究は、カナダ自然科学・工学研究会議(NSERC)から資金供与を受けた。(c)AFP