【12月15日 AFP】米メディア・娯楽大手ウォルト・ディズニー(Walt Disney)は14日、米メディア大手21世紀フォックス(21st Century Fox)の映画・テレビなどの主要事業を524億ドル(約5兆8900億円)で買収することで同社と合意した。娯楽業界の勢力図を書き換え、動画配信サービスで競合するネットフリックス(Netflix)などに対する競争力を高める動きだ。

 買収対象にはフォックスの米映画・テレビ制作事業とケーブルテレビ局、国際テレビ事業が含まれる。これによりディズニーは、映画の『X-Men』や『アバター(Avatar)』、テレビアニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」、ケーブルテレビ局の「FXネットワークス(FX Networks)」や「ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)」といった人気のエンターテインメント資産を手にすることになる。

 ディズニーによるフォックス所有コンテンツの買収は、動画配信サービス市場での競争力強化が狙いとみられている。同市場では、従来型の有料テレビ契約からストリーミングサービスへの移行の波に乗ろうと、大手のネットフリックスやアマゾン・ドットコム(Amazon.com)、新参のフェイスブック(Facebook)やアップル(Apple)といったIT大手がしのぎを削っている。

 独自の動画配信サービス開始に向けた準備を進めるディズニーは、今回のフォックス事業買収によって米国シェア3位のフールー(Hulu)の株式60%を譲り受け、過半数の同社株を所有することとなる。

 また買収対象にはスポーツ・娯楽番組で知られる「スター・インディア(Star India)」や、フォックスが39%の株式を所有する欧州の「スカイ(Sky)」といった海外テレビ局も含まれ、ディズニーの海外事業を拡張するものとなっている。フォックスはスカイの全株式獲得を目指しているが、英国の規制の壁に阻まれている。(c)AFP/Luc OLINGA, with Rob Lever in Washington