【12月5日 AFP】スイス政府は4日、ナイジェリアの独裁者だったサニ・アバチャ(Sani Abacha)元大統領が横領した公金およそ3億2100万ドル(約360億円)がナイジェリアに返還されることになったと発表した。

 この資金はもともとルクセンブルクで預金されていたが、スイスの裁判所が2014年に没収し、昨年3月にナイジェリアに返還するとした合意文書にスイスとルクセンブルクが署名した。

 スイス政府は声明で、「違法な手段で持ち出された国家資産を返還する政策に従い、ナイジェリア国民の利益のため、スイスはナイジェリアおよび世界銀行(World Bank)と3億2100万ドル近い資金を返還することで合意した」と発表した。

 1993年から1998年に死去するまで軍事政権を率いたアバチャ氏は、ナイジェリア中央銀行から22億ドル(約2480億円)を横領した疑いがもたれている。

 声明によると、ジュネーブの検察当局がアバチャ氏の息子に対して法的手続きを取り、資金を凍結させたという。

 返還される資金は世界銀行がサポートおよび管理することになっており、ナイジェリアの最貧困層のために社会保障が強化されることになるという。(c)AFP