【12月2日 AFP】米バーモント州の老人ホームで暮らしている女(70)が猛毒のリシンを作ったばかりか、他の入居者の飲食物に混ぜて効き目を試していたことが分かった。司法省が1日、明らかにした。

 事件が起きたのはバーモント州シェルバーン(Shelburne)にあるのどかなウェイク・ロビン(Wake Robin)老人ホーム。死者は出ていないとみられている。

 この老人ホームは、「活動的・積極的な入居者たちばかりで、あなたらしく過ごせる場所です」と宣伝していた。

 しかし自分らしく振る舞いすぎたベティ・ミラー(Betty Miller)容疑者は11月30日、「大量破壊兵器」保有の容疑で米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。

 FBIは今週、この老人ホームに危険な物質があるとの通報を受け、ベティ容疑者の個室で「リシン」と書かれたラベルが貼られた瓶を発見。実験によりその瓶の内容物が致死性の高い毒物リシンに間違いないことを確認した。

 FBIは声明で「ミラー容疑者は植物性の毒物に興味を持ち、インターネットで作り方を調べたと供述した」「彼女は老人ホームのキッチンでリシンを生成し、他の入居者の食べ物や飲み物に混ぜてその効能を実験したと述べた」と発表した。

 FBIの大量破壊兵器担当班がミラー容疑者の個室を再捜索したところ、さらにリシンが見つかったほかリンゴ、イチイ、サクランボ、トウゴマ、キツネノテブクロなどの植物から抽出した有毒物質が発見された。

 FBIは、「ミラー容疑者の個室で見つかった物質によって生じるあらゆる脅威を無力化した」と強調。老人ホーム側は、容疑者は司法手続きに入っており、この老人ホームに戻ってくることはないと発表した。(c)AFP