【12月6日 CNS】中国本土では小児用医薬品が不足しており、子どもが病気の場合は、家族が服薬時に適切な「小児薬用量」を判断、推測して成人薬を投与せざるを得ない。中国・広州(Guangzhou)でこのほど開催された中国医薬産業発展フォーラムでは多くの小児医薬品生産メーカー、専門家が小児用医薬品に関する法律の制定を呼びかけた。

 中国大陸には現在、約6000以上の医薬品製造メーカーがあるが、このうち小児医薬品を専門的に扱う企業の比率は1%とかなり不足している。また一般医薬品の中で、成人処方薬は約3600種類あるとされるが、小児用医薬品は60種類ほどしかなく、しかも95%の医薬品が小児の誤飲防止策など安全包装がなされていない。

 公開資料によると、現在、中国大陸にはまだ専門的な小児用医薬品に対する法律が無い。

 非営利組織のセーフ・キッズ・ワールドワイド(Safe Kids Worldwide)、世界薬品安全組織(Partnership For Safe MedicinesPSM)、首都医科大学付属北京児童医院が今年9月に共同で発表した「小児の医薬安全についての現状報告」によると、中毒症状にかかる小児のうち、薬物による中毒者が40%以上を占め、2016年のデータでも5人のうち2人が薬による中毒症状であることを報告している。

 中国医薬企業管理協会の郭雲沛(GuoYunpei)会長はフォーラムの壇上で、「中国は14億の人口のうち、0歳から14歳までの小児が2億3000万人に達し、膨大な人数になっている。しかし、全国で専門的に小児用医薬品を生産する工場は10か所ほどしかない。しかも製造しているのは抗菌薬や風邪薬ばかりで、免疫力の増加や希少疾患を治療するための小児薬が深刻に不足している」と述べた。

 広州一品紅薬業(Yipinhong Pharmacy)の李捍雄(Li Hanxiong)社長は、「小児用医薬品を専門的に研究・開発、生産を行なう企業が少ないため、大陸で提供する小児用医薬品の在庫は種類、薬剤の形状、規格とも極めて少ない。小児の臨床試験データも不足している。小児用医薬品の研究・開発コストは成人医薬品の場合よりも高いし、時間もかかる。しかし、中国の医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonization)の加入によって、国内外の新薬の臨床データを共有できるようになれば、発売までの時間も短縮できると信じている」と述べた。

 ある専門家によると、小児用医薬品の研究・開発に関して国家も力を入れ始めている。だが、具体的な枠組みなどはまだ完全に政策に落とし込まれていない。

 郭会長は、「小児用医薬品にはまだ『優先ルート』がない。開発、生産から使用まで、あらゆる面で体制を確立していかなければならない」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News