【11月29日 AFP】気候変動と白化の拡大で危機的状況にあるオーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)は、全体のごく一部のサンゴ礁がそれ以外の大半の生存を維持するのに十分な回復力を持っている可能性があるとの研究論文が28日、発表された。

 米オンライン科学誌プロス・バイオロジー(PLOS Biology)に掲載された論文によると、世界最大規模の約3800のサンゴ礁が集まるグレートバリアリーフの約3%はこれまで、海水の温度上昇や汚染から白化現象や病気に至るまでの多数の脅威から比較的痛手を受けずに切り抜けてきたという。

 低温海域にあるこれらのサンゴ礁は、適切に保護すれば、1年間で生態系全体のほぼ半分(45%)に幼生を供給できると、論文は指摘する。

 論文の主執筆者で、豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のピーター・マンビー(Peter Mumby)教授は「これら100か所のサンゴ礁の存在を明らかにすることは、グレートバリアリーフの循環器系を解明することに少し似ている」と話す。

 グレートバリアリーフのその他の部分とは異なり、これら100か所はサンゴを捕食するオニヒトデの食害を受けていない。また、サンゴの幼生を海流に乗せて送り出すことが可能な海域に位置しているため、多数のサンゴ礁に幼生を届けることができる。

 論文の筆頭執筆者で、クイーンズランド大のカルロ・ホック(Karlo Hock)氏は「グレートバリアリーフ上にこのようなサンゴ礁の優れたネットワークが存在することは、サンゴ礁系全体がある程度の復元力を備えていることを意味しており、これがリーフ全体がさまざまな障害から回復する助けになっている可能性がある」と説明する。