【11月14日 AFP】地球温暖化などの気候変動によって、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界自然遺産(World Heritage)の約4分の1が危機にさらされており、その件数は3年前に比べてほぼ倍になったとする報告書が13日、発表された。

 この報告書は国際自然保護連合(IUCN)がドイツ・ボンで開催中の国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)で発表したもの。報告書によると、サンゴ礁、氷河、湿原といった世界自然遺産のうち、危機にさらされた遺産の数は2014年の35か所から62か所へと増加。全登録遺産に占める割合も、2014年の7分の1から4分の1になった。

 その中でも地球温暖化によって最も脅威にさらされているのは、白化現象に見舞われているサンゴ礁だという。

 インガー・アンダーセン(Inger Andersen)IUCN事務局長は記者団に対し、「気候変動は急速に進んでおり、われわれの星の最も素晴らしい宝物に対しても容赦しない」と語り、危機にさらされる遺産の数は今後も増えていく可能性があると示唆した。

 また、アンダーセン氏は「(気候変動が)われわれの自然遺産に与える被害の規模とペースは、パリ協定(Paris Agreement)を実行するために国レベルでの迅速で野心的な関与と行動が必要であることを明確に示すもの」だと訴えた。

 報告書によると、ここ3年で壊滅的な白化現象に見舞われたサンゴ礁はインド洋のアルダブラ環礁(Aldabra Atoll)、大西洋のベリーズ珊瑚礁保護区(Belize Barrier Reef)、そして世界最大の規模を誇るオーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の3か所だという。(c)AFP/Mariëtte Le Roux